
信州は山の国、森の国。ここで育った木を使うことに、私たちはこだわり続けてきました。その地の気候風土の中で育った木で建てることが理に適ったことであり、家を長持ちさせるのは自明のこと。しかも信州には、いい木が本当にたくさんあるのです。
けれども、私たちのこだわりは、当初なかなか理解されませんでした。無垢の木は生きていますから、当然割れや反りが出てきます。住んでいれば床に傷もつきます。近年、日本の家づくりでは、そうした「割れ」や「反り」を嫌い、防ぐことを追及した結果、集成材が生み出され、多用されてきました。でも、それで本当に住まいは快適になったでしょうか。
確かに反りや割れは無くなりましたが、木も生きた木ではなくなりました。そして集成材に使用する接着剤から、シックハウスの問題が出てきました。
"便利さ"の前に、人の体の安全と健康が脅かされては本末転倒。私たちは割れたり反ったり、やっかいな木とつきあっていく暮らしを提案したいと思います。木のふるさと、信州に暮らすみなさまならば、きっとそのよさをわかってくださると信じて。

工房信州の家の展示場や完成住宅に入ったお客様のほとんどは、最初にこうおっしゃいます。「わぁ〜、木のいい香り」、と。その香りの秘密は「天然乾燥」。たかが乾燥と思われるでしょうか?ですが、乾燥の仕方で木の風合いはまったく違ってしまうのです。
一般的に、製材した木材を乾燥させる方法は2つ。機械を使った「人工乾燥」と、太陽と風の中で自然に乾燥させる「天然乾燥」です。 現在、多くは効率を優先して人工乾燥されていますが、私たちは駒ヶ根に専用のストックヤードをつくり約30棟分の木材を天然乾燥させています。
そこまで「天然乾燥」にこだわるのにはワケがあります。木材を高温で乾燥させる人口乾燥材は、色も黒ずんで、香りもどこか焦げくさい。それに比べて天然乾燥させた木材は、色はあわいピンクでツヤがあり、香りも木本来のもの。また、長野県と協力して行った木材の強度試験では、人工乾燥材よりも天然乾燥材のほうが、木材を曲げた時に折れずにギリギリまで曲がって耐えてくれる「ねばり強さ」があることもわかりました。
長野県で生まれ育った木の、本来の香りを感じてほしいから。
木を使った家ではなく、木を生かした家づくりへ。